「‥‥それにしても、釣れないね。ソースケ。」
「まあ、こういう日もあるのだ。」
「あはは、そうかもね、ドンマイ。‥‥でもあたし、楽しかったな‥‥。」
「そうか‥‥。」
「うん、連れて来てくれて有難う、ソースケ」
そういって、今度は彼の膝に頬を寄せる。
「いや、俺の方こそ。良い時間を過ごさせて貰った、君には感謝している。」
「ふふふ、大袈裟なヤツ。 でもソースケ、凄く良い顔してたよ‥‥」
「そうか‥‥」
宗介は、彼女の言葉を噛締めるように眼を閉じる。
それから暫くその心地よい空間を共有するように黙り、五感を研ぎ澄ました。
あたりは静寂に包まれている。けれど先程の様に寂しいものではもう、無かった。
夜風は涼しく、波音は耳に心地良い。そして膝の上に、かけがえの無い少女の温もりを感じる。
何か話をするでもなく、ただそれだけで、そこに居るだけで。
彼の心は温かいものに満たされ、言いようの無い幸福感を覚える。
この気持ちを、この幸せな感情を得た事を。どう言葉に尽くせばいいか解らないけれど。
「‥‥感謝しているんだ、本当に」
宗介はそう言って、まどろむ彼女の髪に触れてみた。
「‥‥‥‥ん?‥‥そーだね楽しかったね‥‥」
かなめは尚も寝ぼけた様子で、頬を寄せて微笑む。
「ああ、楽しかった。」
「ん‥‥ふふ」
「有難う、嬉しかった。」
笑ってくれて、喜んでくれて。それから、何時も大事な事を教えてくれて。
かなめはぼやけた視界の中にも、宗介の真摯な眼差しだけを確かに感じていた。
「‥‥どうしたの?」
「‥‥言わなければならないんだ」
「‥‥‥‥ん?」
だからここまで来たのだ。
そう、伝えなければ。
溢れそうな程の喜び、感謝の想い、
郷愁、憧憬、それから独占欲。
白と黒だった自分の世界を彩る様々な『情熱』。
それらを何と呼ぶか、彼にはもう解っていた。
だから、伝えなければならないのだ。
「君に会えて、本当に、‥‥その、良かった‥‥」
宗介は訥々と、吐き出し始めた。
「本当に‥‥嬉しかったんだ。 だから‥‥」
なかなか言葉を紡げず、彼の言葉は闇の静寂に溶けて行く。
暫しの沈黙が二人の間を訪れた、その時。
黙って聞いていたかなめが唐突に彼の首に両手を回した。
「‥‥千鳥?」
少し驚いて、彼女の表情を伺うと、彼女は穏やかな笑顔を称えて、言った。
「ソースケ、あたし今ね、もー半分‥‥ノーミソ寝てるかも。」
イタズラに笑い、宗介を優しく引き寄せてそれから、
「‥‥だからなんだかね。」
うわ言の様に呟き、その深い色の瞳に宗介を映した。‥‥それから
「ちど‥‥り?」
それから‥‥。
「夢みたいだよ‥‥。」
それから、かなめはギュッと‥‥彼を抱き寄せた。
宗介はかなめの首筋あたりに顔を埋める形となり、鼻腔を甘い匂いがくすぐった。
「夢ではない」
「そーだね。‥‥ソースケあったかいもの。」
「ん‥‥。」
宗介は大人しく、諭される子供みたいに、彼女の言葉を聞いていた。
「あたしも、嬉しいよ。ソースケに会えて。 だからね、これからも‥‥こんな風にずっと‥‥」
「‥‥‥‥。」
かなめの腕の中で言い様の無い安息感を覚え、そのまま彼女とまどろみの中に落ちてしまいそうだった。
だけど、今ならば、いや今だから、言える、言わなければ。
「千鳥」
宗介は膝の上からかなめを抱き上げて、包み込んだ。
「その‥‥千鳥、俺は。」
そこで彼は一度俯き、深く呼吸して唇を引き結ぶ。
それから瞬秒後、覚悟を決める様に顔を上げると、彼は一気に吐き出した。
「俺は君が好きだ。」
言った。ついに‥‥言ったのだ。
去年のクリスマスから気付き始めた想い。
彼女を護りたい、彼女と共に居たい、ずっと。
そう願うならば何時かは伝えなければならない、そんな気がしていた。
「千鳥‥‥」
彼女は沈黙している。
彼女がなんと応えるか‥‥正直そこまで考えては居なかった。
だからこの沈黙が、いやに長く感じられ、そして、恐ろしい。
「‥‥‥‥」
長い長い沈黙‥‥、宗介は溜まらずダラダラと汗を流し始める。
「ち、千鳥‥‥?」
相変わらず返答が無い。
宗介はいよいよ、腹の底からふつふつと、根の暗い絶望感が沸いて来るのを感じ始めていた。
心なしか彼の周りの空気が重く淀んでいる様に見える。
けれど宗介は今回ばかりは根気強く、覚悟を決めて彼女に問いかけてみる。
「千鳥‥‥頼む、応えてくれないか‥‥。」
苦渋の表情で、宗介は返答を待つ。すると突然彼女が応えた。
「んーむにゃ‥‥」
宗介には到底理解不能な不思議言語で。
「ち、千鳥。 すまないがその、意味が解らないのだが‥‥。」
そう言って、かなめの顔を覗き込んだ。すると‥‥
「すーすー」
かなめはしっかりと眼を閉じ、穏やかな『寝息』を立てていた。
「‥‥‥寝て‥‥しまったの、か‥‥。」
宗介はがくりと項垂れた。
彼の一世一代の告白、それは何とも中途半端に未遂に終わってしまった。
宗介は思わず気が抜けてしまったが、同時にホッとした様な、命拾いしたような‥‥複雑な心境だ。
「うーん‥‥むにゃー。」
そんな宗介の気も知らず、かなめは彼の胸元で気持ち良さそうにムニャムニャ言っている。
そんな彼女を見ていると、それだけでまた、心は温もりで満ち足りた。
宗介は静かに、無骨な自分の手で壊さない様にと、注意深く彼女を抱きしめる。
すると。
「んー…?んふふ……ソースケー……?」
彼女を起こしてしまった様だ。
「肯定だ……」
宗介は申し訳なさそうに応えるが
「ソースケが居るー……、なんでえ~? でも嬉しいなぁー……、‥‥ むにゃ~」
かなめは頬を擦り寄せると、また直ぐに眠りに落ちた。
その表情は本当に幸せそうに見える。
「うむ。」
互いの気持ちは繋がって居るようだ。宗介は心底満足気に頷いて。
「今日のところは、これで良しとしよう」
まあまあの健闘をした自分に妥協を許すのであった。
だけど。
―君が好きだ。
―好きで、どうしようも無い。
―君に、言葉では伝え切れないほど感謝している……。
―…愛しているんだ…。
彼の内で、伝えられなかった想いが未だシンシンと、雪のように降り積もっていた。
何時か、何時か伝えよう。必ず。君に。
それまで俺が護る。この平穏を、安らぎを、君の居る世界を。
それからまた、静かに彼女を抱き寄せた。
エピローグ
今後バカップル全開です。恥ずかしくて死にそうです!
「ふ、ふぁあ‥‥」
かなめが突然大きな欠伸をした。
「千鳥、眠いのか?」
「うん、ちょっと、昨日あんまり寝て無くて」
そう言ってかなめは人差し指で涙を拭う。すると宗介が一瞬怪訝な顔をした後、ベラベラと喋り出す。
「昨晩‥‥どうしかしたのか? 一晩中何者かにレイザー・サイトで狙われていたとでも言うのか?
いや、有り得ん。 君の居住周辺の警戒は完璧だ。 不正に進入したら最後、俺の手の内で踊らせた挙句、
親類縁者問わず尋問に次ぐ尋問を施す。最終的には廃人だ。」
「‥‥あたしイヤな所に住んでるんだなあ‥‥。 あのねソースケ全然そうじゃないのよ、大丈夫。」
「む?」
何時もの誇大妄想っぷりには驚きだが『寝不足だ』というそれだけの理由で心配をしてくれたらしい。
「なんか、なかなか寝れなくて。 何着よっかな~、て一人で夜中にファッションショーしたり‥‥はっ!!」
宗介の過保護が嬉しかったかなめはついつい正直に応えてしまった。
(やだ、これじゃまるで物凄い楽しみにしてたみたい‥‥してたけど)
しかし、宗介はそんなかなめの機微など気付くはずも無く、物騒な意見を述べる。
「成る程、合点が行った。服選びには俺も時間をかける。
耐久性、防弾性、あらゆる状況を常に想定して不測の事態に備えねばならないからな。」
「はあ‥‥そうですか。」
「‥‥しかし、君は時間をかけて選んだと言うには‥‥。」
「‥‥ん?」
言うと宗介はかなめを一瞥して、直ぐに困った顔をして正面を向き直った。
「なんだ。 あまり大勢の前でそういった服装はしない方が良いと、思うぞ。」
「むっ、なんでよ! 不測の事態とやらには向かないから?」
途端にかなめが御機嫌斜めになり、宗介は歯切れ悪く答えた。
「‥‥それもある、それもあるのだが‥‥。その、なんだ。一般的な意味合いで言って無防備だ‥‥。」
言われてかなめは自分の服装を確認する。
肩口が大きく開き、胸元にふんわりしたフリルの付いたチュニックキャミソールと、見事な脚線を際立てる健康的なショートパンツ。
(‥‥ちょっとハリキリすぎちゃったのかなあ‥‥)
何時もより少し女らしく、可愛らしく、尚且つ色っぽく‥‥。
そういうものに関心を持つようなヤツじゃない事は解っていたけど、少しは気に留めて欲しくて、『頑張った』のだ。
昨日の自分を恥じるやら情けないやら、かなめは急に気落ちしてシュン、となる。
流石の宗介も、自分のせいでかなめが酷く落胆している事くらい解った。
そこで彼は、彼女に掛けるべき言葉を暗中模索する。
「‥‥今日は良いのだが。」
ようやく言葉を捻り出した。
「え?」
「俺個人の、意見としては‥‥悪くないと、思う。」
無愛想にそう、言い放った。
「‥‥ふーん。」
そういって、かなめは嬉しそうに微笑んで、彼との距離を少しだけつめて座り直す。
******
暫く宗介は、動きの無い海面と、移り行く空の景色を交互に眺めていた。
すると―、 ふいに左肩に『ふわり』と何かの重みを感じた。
「‥‥‥‥ん~」
「千鳥‥‥?」
そちらの方を見ると、かなめがコクリ、コクリと揺れながら、宗介の肩にもたれ掛ろうとしていた。
夢との狭間を行き来しながらも彼の肩に頼ってしまわない様、体勢を戻そうと努めている様だ。
その姿が彼女らしく、何だかとても健気に思える。
「大分眠いようだな、少し寝たらどうだ?」
そんな彼女に宗介は宥めるように促す。
「う、うーんでも~‥‥寄り掛かっちゃったら邪魔でしょ~‥‥」
「いやそんな事は無いが‥‥」
宗介は言うが、かなめは彼の隣からフラフラと離れる。
それからおもむろに後ろに回りストンと腰を降ろした。
「この方が楽かな‥‥? 悪いけど背中貸して貰うわね」
そう言うと、かなめは宗介と背中を合わせ、ゆっくりとその体を沈ませる。
かなめが背中で黙ると、あたりはシン‥‥と静まり返った。
その瞬間、ふいに彼女が隣に居ない事に、宗介は言い知れぬ不安を覚える。
(どうも、落ち着かない。)
夕暮れの静けさがどこか不穏なニュアンスを含み、空の色は少し褪せた気がする‥‥。
隣を見れば彼女が居て、笑っていて、嬉しくて。自分の顔も思わず綻んだ。
そんな風に長い時間過ごし、まるでそれが当たり前の事のように思えていた。
それが最早遠い昔の事の様に思える。
隣に居た彼女は今も、直ぐ近くに居るのに‥‥。 尚、恋しく思う。
背中には確かな重みと温もりが在る。けれど、今はそれだけが感じ得る全て。
その唯一の存在が無性に愛惜しく、掛替えの無いものに思え、彼の孤独に拍車をかける。
『郷愁』
突然宗介の脳裏にぼんやりと、その言葉が浮かんだ。
先日古典の授業で聞いたばかりの単語だ。
その時、不思議と彼はその単語の意味をすんなりと理解した。
理由は解らなかったが、そんな想いを知っているような気がして。
しかし今この瞬間、その理由が明白となる。
何時も、最後には『そこ』に戻りたいと、その隣に居たいと切望していた。
孤独を教えられ、恋しく想う、何時も会いたいと想う。
『郷愁』
彼にとって、かなめはその象徴だった。
唐突に悟った瞬間、彼はそんな自分をおかしく思った、けれど決して悪い気はしなかった。
だから、ごく自然な感情の横溢に身を委ねてみる。
決して一人ではないのに、一人よりも鮮明な孤独感。――それはとても不思議な感情。
無性に‥‥彼女の顔が見たい。
******
「むぅー‥‥」
背中のかなめが寝心地を模索してもそもそと身動きした。
まだ起きている様だ。
「千鳥」
「‥‥ん?」
「眠いところすまない、一つ頼みを聞いてくれないだろうか?」
「‥‥へ?‥‥なあに?」
かなめは不思議そうに顔だけ宗介の方を向く。
肩越しに見える宗介はただムッツリと穏やかな波間を見つめている。
暫くすると、背中越しに彼の肺が息を吸い込んで膨らんだのを感じた。
「‥‥隣に居てくれないか。」
宗介はゆっくり、息を吐き出すように言葉を漏らし、顔だけかなめを振り返る。
ところが次の瞬間、彼に『不測の事態』が訪れた、かなめがこちらを見ているとは思わなかったのだ。
振り返ると直ぐに、彼女の大きな瞳が飛び込んできた。
トロン‥‥と眠そうに半開きになっているが、二つの深い茶の瞳は不思議な力を湛えている。
万一彼女が敵であれば自分に命は無いだろう、身動き一つ取れないのだから。
息がかかるほどの距離。
唯一聞こえる波の音よりも互いの鼓動の音が大きく聞こえていた。
自分の内に、表面張力だけで保っているかのような『何か』が在る、
それに少しでも触れれば零れ落ちて、未知の衝動に呑み込まれる事だろう。
鈍感な宗介にもそれが解った。
顔が、唇が、無意識に引き寄せられる。
後数センチ‥‥
後数ミリ‥‥
ところが。
「‥‥ん~、ま、いいけど。」
突然かなめが間の抜けた声を漏らし、その緊張を突き破った。
「‥‥?!」
先程の感覚から急に身体が解き放たれた気がして、宗介は驚き目を見開く。
「‥‥でも、こうした方が疲れないんじゃない? どうして?」
半分まどろんだ様子でかなめが訊く。
「それは、その‥‥。君が後ろに居ると急に周りが寒々しくなると言うか‥‥」
今だ動揺を隠せず、しどろもどろ、宗介は応えた。
「あ~、ははぁ~~。 つまり」
すると、かなめは眠たい目で彼を面白そうに眺めてから
「‥‥千鳥‥‥‥‥?」
突然、宗介の肩に頬を摺り寄せた。
「寂しいのねぇ~~‥‥、ボン太くん。」
かなめは若干寝ぼけているようだ、そのままスリスリと彼の肩に頬を寄せる。
「俺はボン太くんでは無いのだが‥‥、その、そうだな前半の部分は、否定はしない。」
「ふう~~ん、そう‥‥‥‥」
彼女はそう言うと嬉しそうに尚もごろごろと頬を寄せてきた、その仕草はまるで甘える仔猫のよう。
「‥‥千鳥、あまりその、擦り付けると良くない。 顔が汚れるのでは‥‥」
「えー、そんな事無いけどー。 よっと‥‥」
そう言うとかなめは彼の背中から隣へと身を動かそうとしたのだが、眠い身体は想像以上に重たい。
彼の肩に乗せた頭を側面にずらそうとすると、その重みで全身のバランスを崩した。
「ふぁっ‥‥」
ぽすっ‥‥‥‥。
かなめは後頭部から何かに埋もれるように倒れ、次の瞬間、眼を開いた。
視界には夏の星座が映り、もうこんな時間なのね‥‥とまどろむ頭の端で思う。
それから視線少しを横に滑らせると、そこには。
「‥‥千鳥?」
そこには、どこか心配そうに見つめる宗介の顔があった。
「ご‥‥ごめん。」
「いや‥‥問題ない。」
バランスを崩して、かなめは宗介の膝を枕に寝転がる形になってしまったのだ。
男女が逆ではないか‥‥
それにこの格好では、宗介にまともに顔を見られてしまう。
寝ぼけた頭にもかなめは何となく気恥ずかしさを覚えていた。
だけど。
目の前には、都会では決して見ることが敵わない、プラネタリウムのような夜空が広がり。
それから、見守る彼の気配と、頬から伝わる彼の温もりが、直ぐ傍に在る。
(心地が良い)
かなめは心からそう思った。
「‥‥でも、このままで良い?」
少し申し訳なさそうに、それからはにかみながらかなめは訊ねる。
「ああ、構わない。 この方が、良いのなら。」
「うん、この方が良いよ。」
かなめはそういって、柔らかい笑顔を彼に向けた。
「‥‥俺も、この方が良い‥‥。」
続く
某様
>今頃無事異国に旅立っておられることと
有難うございます!当日は一旦帰宅してメッセージも確認できていたのですが、時間切れでした;
でもお陰さまで、晴がましい気分で旅立つことが出来ましたよ♪
拍手のコメ、いやいや、こちらこそダラダラと絡んで申し訳ないです!せいぜい拍手でお返事するぐらいしか、気持ちをお伝えする手段が無いもので;
そーかなネタ、どんと来いです!寧ろ大喜びでネタに乗っているのですよ?!(力説)
>胸、もんでませんか
気のせいですよ!(笑)
正面から行くよりも背後から・・・、成る程、米一つ取るにもスペシャリストは一味違いますね!(笑
果たして本当の目的は米なのかちろりなのか、ハッキリさせると良いと思います軍曹さん!
>フルメタ軟膏
多分私もこれが初めてでは無いはずなのですよ、あのチューブの配色、激しく見覚えが!
畜生、私ももっと前からハマっておけば!(笑)
ホメオパシーですか、初耳です、なるほど、自然治療ですか!
きっとそういう方向で治療する方が優しいのだろうな~と思うのですが、現在の持病はごく最近かかったのでまだまだ研究不足ですよ~、勝手に参考にさせて頂きますね!
で、軍曹ですか?おおおオメデトウございます!!(?)
ますます深いですねホメオパシー!ち、ちろりとか無いのですかっ?!(笑
>新作お忙しい中お疲れさまです
うわあ~有難うございます。そのように言ってくださる方が居るからこそ、生きて行けます!!男泣きです。
私なんぞ本当にヒヨっ子で、毎度毎度うんうん唸りながら書いているのですよー!
うっかり連載形式にして首を絞めてる無計画でダメな自分です(笑
軍曹さんや千鳥さんは愛を込めて書いて上げたいっていう思いだけはあって、一応表現は気を使っているのですが、ツンデレ千鳥万歳、おとボケ軍曹万歳!なのです。二人、良い感じですか?
ああああ其方様にそのように言われると嬉しいやら照れるやら・・・
豪州に向かう飛行機の中夢見ごごちでした、本当に有難うございます・・・。
>渡航
いやいや、正直仕事の関係上、関わるきっかけが増えた~という感じで。
社会人になる以前は、全然でした!わたしにとってはもう九州が地球でした(笑
飛行機は最近高いですからね~;おおオンリーに投資するとは素晴らしいですねっ!
いやー私も正直お家が大好き、フルメタ大好きってな感じの性根はインドアですよ、無理してますよ!(笑
8/28-30
某様
>シマアジ価格の弁当
あ、勿論ご指摘では無い事は理解しておりました!
コメントをきっかけに価格を調べたら、とんでもない価格が出てきて驚いたのですよ(笑
でも実際ちろりは、栄養とかに気を使って、食費はかけてそうですよね。
いやいやバイトは絶対その為でしょう!(言い切ってしまう)
軍曹さんも変な商売で儲けてる分食費入れてるんですかね?わーなんかもー夫婦じゃないですかー!
旅行楽しかったですよー、有難うございます♪
>てっきりフルメタポイントにお出かけかと思いましたが
シドニーですか?いや、一応行きましたが時間の関係上空港だけ・・・;
某提督さんの気配でも感じたかったのですが(笑)
パースは良いですよ~。観光地化されて無い感じが旅に来た~て感じでオススメです!
海とか砂漠とか森とか動物とか・・・盛りだくさんですよ。是非!
ちろりを袋に入れる軍曹・・・(笑)
なんかズタ袋に詰め込んで拉致る姿が目に浮かびました、愛くるしい!
8/31
18時ごろ
>カンガルーっ娘に盛大に萌えです
無事帰宅しました!有難うございます。
カンガルーが本当に本当に可愛かったのですよー!
可愛くて可愛くてもーそのあまり、描いてしまいたカンガルーっ娘!!
というかバニーちゃんの様ですね;萌えですか?有難うございます!
カンガルーの可愛さが少しでもお届けできれば幸いです!カンガルーというか千鳥さんの!(笑
某様
>デトックス
帰りました!早速お気遣いをどうも有難うございます。m(__)m
日本は暑いですよ~。というか湿気!!
発汗はきっと悪いことではないのでしょうけどね!ちょっと掃除でもしようものならもーベッタベタです;;
>カンガルーちろり&ソース犬
はい、旅行の成果ですね!わざわざオーストラリアで何を磨いてきたんだ!(笑
袋は、なんか見たことあるなあ、と思ってたんですが、それですそれ、そういう名前なんですね。
赤ちゃんとか抱っこしてるお母さんを見たことがありますね~。
じたばたして結局寝ちゃうんですかね~、可愛いなあ~~。(想像中)
巨乳の下で(笑)もうドサクサに紛れて埋もれちゃいなさいよ、いいよ犬だから!って感じですね!(?)
原作意識して描くとどうしても胸を強調してしまうのですよ;
9/1
某様
>日本て亜熱帯でしたっけ
普段感じませんが、違う土地から戻ると、「流石アジア!流石亜熱帯!」て強く感じました;;
関東が天気が悪かったせいもあるんですけどね。
そちらは過ごしやすそうで何よりでございます、いっそ避暑に行きたいです、良いですなあ。
>カンガルーちろりとソース犬
取りあえずちろりの袋はソース犬のものなのです。
触ったら噛み付くソース犬、ちろりにしかなつかないソース犬・・・。か、可愛い!!
クルツ君あたりを是非けしかけて見たいですね(笑
ロケット・・・(笑
それを意識して描いていることがバレバレな訳ですね!
後頭部に当たっちゃってわんこは激困りかもですが、だからこそそこを死守という事で!
※暫く不在ですので、8/24以降の返信は8/29以降となります。
申し訳ないです、しばしお待ち下さい。;コメント等本当に有難うございます。
18時ごろ
>ツボつかれまくってます
拍手と細かな感想を本当に有難うございます、励みにも参考にもなります、大感謝です!!
絵はに、肉感的ですか?女子も男子もオイロケが大事だと思っておりますので!(笑)
小説、楽しんで頂けていますか?!良かったです!!
そーかなは書いてて本当に楽しいのですが、楽しんでるのは自分だけだったらどうしようかと;
ギャグとシリアス、バランスよい配分で書けていけたらなあ~と思います。どちらも楽しんで頂けている様で嬉しいです。
釣仔猫~は楽しい雰囲気でデートさせたいなあと(笑)
原作やアニメの神がかったテンポの良さをリスペクトしてます(笑)それに少しでも近づけようと意識して書いてるので、テンポが良いと評していただけるのは感激でございます。
千鳥さんのテンション(笑)今回は千鳥さんは機嫌が良いのでハイなんですよー。納得頂けて何よりです!
>夏限定などとおっしゃらずにゆっくり書いてください
勿体無いお言葉と、お心遣い感謝いたします;その時の状況により更新頻度はホントマチマチですごめんなさい。
マイペースなヤツなのですが、期待をしてくださる方の存在を胸に刻んで日々頑張りますね!
こちらこそ待って頂けることが本当にあり難いですよ~。
浴衣ネタは書きますよ!寒くなる前に書ければもうイイや!って気がしてきましたし(笑
恐らく短いSSになるかと思いますが、生暖かく見守ってやってください;
某様
>良いもの食べさせてもらってるんですね
改めてちゃんと値段調べたら、メチャクチャ高いんですね!!;;;
まあせいぜい・・・とか思ったらとんでもない(笑
愛情価格と言うことで3日分でもいっかな~と思いましたが、破格過ぎる、有り得ない、と思って訂正しておきました(笑
それでもまだ高いですけど、愛情価格って言うことで。
栄養つけなきゃいけないから!とか言い訳してくれるとかわゆいですねv
自分なら一月は持ちますよ(笑
>浴衣絵も見たいな~
浴衣ネタ書きますよ~、浴衣絵は描きます、絶対描きます!! 自分が浴衣のちろりが見たいので(笑
宗介の案内で辿り着いた所には、U字型の入り江が出来ていて、ふもとはなだらかな浜が広がっている。
入り江のヘリに取り囲まれ、プライベートビーチの様なそこは、程よい日陰もあり、なんとも過ごしやすそうだ。
「わお‥‥なんつーの? お金持ちのハゲのオッサンとか金髪のネーちゃんとか出てきそうだわ。」
かなめは感想に思った事をそのまま口に出したのだが、宗介はその意味を捉え損ね賢明に頭を捻らせている様子だ。
「‥‥すまんが‥‥どういうことだそれは‥‥」
「ゼータクだって事よ、ふふっ」
そう言って柔和な表情で彼女はゆっくりと歩き出す。
そんなかなめの背中で、彼女に見えないよう深く息を吸い込んでから、宗介が切り出す。
「‥‥ところでだ。 昨日君とやりたい事があると言ったが‥‥。」
「え?ああ、うん。 何やりたい事って?」
相槌を打って、かなめは昨日の彼の言葉を思い出す。
そうだった、だからこうして来たのだった。‥‥いや、根本的にはもっと重大な目的があった気がするのだが‥‥
今は次の彼の言葉が気になって、それ以上は考えられない。
「ああ、その、実はだな。」
そう言って宗介は肩の荷物からまたなにやら取り出す。深い草色のバックパックだが、先程から色々と出てくる。
『今日のコイツはドラ●もんみたいだ』とか『きっと得体の知れない凶器とか入ってんのよ』
とかかなめが思っていると、目的の正体が明らかになった。それは長い長い棒上の何か。
バックパックの大きさでは明らかに収まらないサイズだ。
なんて都合のいい設定だろうか‥‥そんな事を思いながら宗介の取り出すものかなめはをしげしげと眺める。
「あ、それって! ‥‥釣竿?」
「そうだ」
そう、宗介が取り出したのは二本の釣竿、‥‥及び釣具だ。
「あははっ。 じゃあ、あんたやっぱあたしとイカとか魚とか喰いたかったの?」
「いや‥‥それも違う。 というか俺は喰いたいばかりなのか‥‥」
そうつぶやいて、それからたっぷり間を置いてから宗介は切り出した。
「ただ‥‥一緒に釣がしたかったんだ」
「へ?」
かなめから間の抜けた声が漏れた。
「釣だ」
「へ?」
「フィッシングだ」
「‥‥?」
「рыбалкаだ」
「解るかっ!!」
「では何語ならいいのだ?!!」
宗介が当惑して訴える。
「‥‥そうじゃなくて、なんでまた‥‥あたしと?
いや、なんていうか‥‥一人でムッツリ釣るのが好きなんだと思ってたんだけど‥‥」
そう言ってかなめは、ただ思っただけの純粋な疑問を投げるのだった。
するとまた、たっぷりとした間の後で宗介が応える。
「以前、一緒にメリダ島で釣りをしたのを覚えているか?」
「あー、‥‥うん。 30分くらいしか出来なかったし、大物がかかったと思ったら時間切れだったけどね!」
思い起こす様にしてかなめは応える。その時の慌しさを思い出して思わずかなめは笑ってしまった。
「そうだったな。 だけど。」
宗介は一瞬何かを思い出すように遠くを見やる。
「ん?」
かなめは首をかしげて言葉を待った。
「楽しかったのだ。 今までに無いほど。」
「へっ?! ‥‥そ、そーなの?!」
宗介の言葉にかなめは目を丸くする。
「本当だ。 君のお陰で、なんというか凄く‥‥‥‥いや、面目無い、上手く言えんが‥‥。 俺の中で、貴重な時間だった」
「‥‥ソースケ‥‥」
かなめは記憶を辿って見た。
あの時、自分は彼になにかしてあげられただろうか? いや、思い当たる節は無い、強いて言えば傍に居た。
もう半年以上も前の事、そのホンの僅かな、ささやかな時間。ともすれば、その前後の過激な出来事の中に霞んでしまいそうだ。
実際かなめも宗介に言われやっと思い出した‥‥というところであった。
それを彼は気恥ずかしそうに、それで居てどこか誇らしげに、貴重だと、楽しかったと、そう言う。
彼の望みはどこまでも寡欲だ。そんな彼をかなめは少し悲しく思った。
それは彼の戦死した友の写真を見た時の思いと似ていた。ずっと握り締めて、くちゃくちゃになっても尚‥‥。
しかし同時に、慈愛に似た気持ちが込み上げてきて、不覚にも『きゅん』と胸が締め付けられるのだ。
(‥‥思い出をずっと大事に、してくれていたんだね。)
「出来ればまた何時か、そんな時間が過ごせたらと思っていた。 だからここに来た。 それに今日俺は君に‥‥」
「よーーーし。」
宗介がなにか言いかけていたが、間の悪いことに、かなめが突然声をあげた。
少し萎縮した宗介には露も気付気もせず、かなめは彼の肩をバンバン叩きまくる。
「いたい、いたいのだが千鳥‥‥」
「あはは。 ふふっ‥‥いいわよ、思う存分あんたと釣りに興じてあげるわ、ソースケ!
いっちょ大物釣ってやろうじゃない!! 美味しいの釣ったら今日の晩御飯にしてあげる!!」
そう言って、宗介に満面の笑顔で親指をグッとして見せた。
「了解した!」
宗介は力強く頷く。
「ん、いい返事ね! それじゃ、気合入れて釣るわよー!!」
それを合図に、二人は弾かれる様に釣りの体勢を整えるのだった。
*****
「‥‥よーし、やったね! これで‥‥4匹目っ!!」
「むぅ‥‥。」
かなめが勢い良く釣竿を振り上げたその先で、魚が跳ねている。
傍らの宗介はむっつりと釣竿を握ったままで、手元はずっと沈黙している。
「しかし、量より質だぞ、千鳥」
言いながら宗介は、自分の釣竿を置いて、彼女の釣った魚を手早く釣り針から解放してやる。
非常に手馴れており格好良い、そんなとこだけは彼が釣の玄人である事を匂わせている。(一向に釣れないが)
徒に釣るのはアングラー精神に反する。基本はキャッチ&リリースで、二人はただただ大物だけを狙っていた。
「はいはい、ねえ、ところで、この魚はなんて魚なの?見たところ、アジかな?」
「うむ、遠からずと言うところだ。流石だな千鳥。 アジには違いないが、Pseudocaranx dentex。
シマアジだな。マアジよりコイツは若干太い。バミューダ沖での訓練中など甲板の上で良く釣ったものだな。
‥‥そう言えばある日一向にシマアジが姿を見せなくなった事があってな。それを不審に思った俺は速やかに上官に報告した。
すると実はその日敵艦隊が俺たちを‥‥(以下中略)‥‥という訳であらゆる戦闘を経験してきた俺に言わせれば、そのような作戦行動など徒労に過ぎん。 というわけでシマアジだ。」
そう言って宗介はシマアジを海水へ泳がせてやる。すると‥‥
「何ですって?!なんて事を‥‥」
黙って聞いていたかなめが突然、尋常でない、といった様子で応えた。
「‥‥む? どうかしたのか千鳥?」
そんな彼女の様子を見て、思わず声に緊張の色が混じる。
「シマアジて‥‥高級魚なのよ?! 高いの‥‥。そうねあんたの弁当10日分くらい? 言ってみればアジの王様よ?
アジ界の中で‥‥一番えらいのよ?!」
かなめが深刻でいて神妙な面持ちで言い放つと、宗介の表情も途端に強張る。
「何っ‥‥?!‥‥くっ‥‥俺はみすみす10日分の弁当を。 それにしても偉いのか?初耳だ。」
「そうよ、偉いの。言ってみれば大佐よ?! アジ界の。」
かなめはさも物々しい雰囲気で言う、声に抑揚をつけ、大佐の部分には特に力を入れた。
「大佐か?!」
「大佐よっ!!」
かなめがビシッと言い切ったので宗介はごくりと息を呑んだ。
その時二人は海へ還るシマアジの美しい銀色に、ある少女の髪の色を重ねていたのであった。
‥‥ともあれ。そんなナンセンスな会話を先程から二人は繰り広げている。
他人が聞けば、何ともツッコミどころ満載なそれはユルい会話であるが‥‥、かなめは何か喋るたびケラケラと明るく笑い大層楽しそうだ。
それは宗介も同じ、かなめほど表情の変化は無いが、何時も以上に饒舌で、証拠にいよいよ宗介は顎が痛かった。
宗介はやはり釣は玄人である。沢山の魚を知っていて、かなめが魚を釣るたびに名前や特徴を教えてくれるのであった。
戦争意外にこんな知識が、‥‥何時もとは違う意味で宗介が頼もしく思える。
そして感心すると共に彼の新たな一面を見れた気がしてかなめは何だか嬉しかった。
「刺身に、塩焼き、‥‥そうねマリネにしても美味しいわ。」
かなめはお返しにと、魚の値段や調理法を教えてやる。
「そうか‥‥、それは‥‥さぞ美味だろうな。」
そしてその度に宗介は想像力を駆使して、かなめの手で調理された御馳走を堪能するのであった。
「‥‥無念だ。」
その想像があまりにも美味だったのだろう。彼はかなめの隣でシュンと項垂れる。
「まあまあ、過ぎた事を悔やんだって始まらないわ! この広い太平洋にはもっともっと美味なものが存在しているのよ! 悔しかったら根性見せて釣る!!」
「む‥‥そうだな!」
二人は再び競うように釣竿を振り下ろすのだった。
宗介は何時に無く無邪気で、かなめが盗み見た彼の横顔は大層眩しい。
*****
「‥‥ほら、またかかった! これはどうっ?! あ、これって。」
「イエローテイル‥‥まあ、ブリだな。」
かなめはついに10匹目を釣り上げたところで、宗介は尚も律儀に解説していた。
「やっぱり? う~ん鰤なら、何てったってブリ大根よ!! ブ・リ・大・根!! 家計にも優しいわ。
でもね、今の時期は残念だけど旬じゃないのよ、ささ、リリースリリース。 ごめんねブリさん。」
言われるままに宗介は、素晴らしい手つきで鰤を海へと開放すると、おもむろに訊ねてきた。
「ブリ大根とは‥‥? ブリと大根を‥‥どうする? 三日三晩燻した上でジャーキーにでもするのか‥‥?
うむ、いざと言う時の保存食にもなるな。まあまあ美味そうだ。」
宗介は脳内で自分なりの調理をして、一人で納得していたが
「そ、そうかしら‥‥、ていうかどういう発想よ‥‥。」
『鰤大根ジャーキー』を想像してしまったのか、かなめはげんなりして返す。
「違うのか? 良くわからん、説明してくれ。」
「良いでしょう。」
かなめは人差し指をビシッと立て、したり顔でお料理講義を始めた。
「鰤の切り身と輪切りの大根をね、お醤油と砂糖と、あとみりんや生姜ね。一緒に入れてコトコト煮るのよ。」
「ふむ‥‥。」
「冬の時期が最高ね! 下手間をかけてよーく味染み込ませたら絶品よ。 ほくほくして甘くてね、美味しいんだから。」
「‥‥‥そのようだな。」
宗介はどことなく、夢を見るような表情で呟く。
かなめの丁寧な説明は宗介の乏しい想像力を補って、彼にはその食感まで容易に想像できたのだった。
「まあなんていうのかしら、オフクロの味ってヤツね。」
かなめが何の気無くそう言うと、宗介が小首をかしげ訊ねる。
「オフクロノアジ‥‥? なんだ、知らん日本語だな。」
外国生活が長い宗介には、日本語のメタファー的な意味解釈は時々困難な様である。
「うーん、何と言ったらいいかしらね。 じゃあ、例えば、想像してみて? いい?
美味しいけど毎日毎日味気なーい外食生活をしたり、栄養補助食品ばっか食べたり、そんな生活を繰り返すの、
そしたらあんたが無性~~にコレが食べたいって思うモノ、どう、ある?」
すると宗介は一瞬うつむき考えるそぶりを見せただけで、直ぐにキッパリとこう言った。
「君の作ったカレーが食べたいと思うぞ。」
さも当然とでも言うような顔つきで、堂々と。
(くっ‥‥時々コイツはさらっとこういう事をいうのよね‥‥)
何の打算も、思惑も無い純心。かなめはそのストレートさが酷く照れくさいと同時に、なんだか少しそれが憎いような気がした。
「‥‥‥。まあ。そ、それがお袋の味ってヤツよ、覚えときなさい。」
「そうなのか‥‥。 ‥‥む? どうした千鳥、顔が赤いぞ? 熱でもあるのでは無いか?」
「な、無いわよっ! 夕日のせいじゃない?!」
ぷいっと、そっぽを向いたかなめを宗介は不思議そうに見つめると、彼女の向こう側の空と海の境目にほんのりピンク色が注しているのが見える。
二人は釣りに‥‥というよりも、そこに飛び交う何気ない、しかし楽しいやり取りに没頭して、気付けば日はとっぷりと暮れようとしていた。
「ところで千鳥、冬になったらそのブリ大根とやらも食べてみたいのだが。」
「はいはい、冬まで『オアズケ』してたら作ってあげるわよ。 おりこうさんにしてなさい。」
「うむ‥‥‥‥。」
続く