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続きです。1はコチラ。

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何時もの家路、何時もの商店街を二人で歩く。
互いに先程の空気を引き摺っているのか、どうもぎこちない

宗介は鼓動の高鳴りに気持ちが焦り、自然と歩調が早くなっていた。


「‥‥きゃ!」


自分の後ろでかなめの声がして初めて我に返る。
歩調を合わせようとしてくれていたらしいかなめが不意につまずいてしまったのだ。
とっさに受け止めようと振り返るが、
家路を急ぐ人々の波に一瞬かなめが攫われ姿が見えなくなってしまった


     ――奪われてしまう――


「千鳥!!!」

何故か宗介は必死だった。
程なく彼女が現れたにも関わらず、夢中で彼女の姿を探していた。

「へ?」
かなめがキョトンと事無げな表情を見せる。

「千鳥‥‥」
心底ホッとしたような表情を浮かべるので、かなめが不思議そうにしていると

「あ‥‥。」

―ふいに、彼は彼女の腕を掴み強く引き寄せた。

かなめが反動で宗介の方に倒れ込み、
鼻先が彼の制服の胸元を掠める距離で止まる。

硝煙の匂い、大きな手、広い胸元
シャンプーの匂い、微かに甘い匂い、柔らかな温もり
そして互いの命の音。

     ――ここに居る‥‥――



至近距離で互いの存在を感じると、
痺れた様な感覚に陥り、時間が止まったかのようにさえ思えた。

『チリンチリン‥‥‥‥』
後方から来たおばさんが自転車のベルを鳴らして二人の真横を通り過ぎる。
はっとかなめがいち早く我に帰った。

「あ。あの‥‥」
「す、すすまない千鳥‥‥!これは‥‥、その」

宗介がバツの悪そうな顔をして、かなめから離れようとする。
(突然驚かせてしまっただろうか‥‥?)
額にはびっしり汗を浮かべていた。

ところが、かなめは逆に歩み寄り右手を彼に差し延べて来た。


「こうすれば良いんじゃない?」
かなめは気恥ずかしそうに下を向いたまま、その白い手で彼の手に触る。

「こうすれば‥‥離れないから‥‥。」
そう続けて、控えめに宗介の中指の辺りをかなめの指が撫でた。

「あ、ああ‥‥」


宗介はおずおずと、触れた手を握る。するとかなめがキュッと握り返してくれた。


続く

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