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以前描いた絵の元ネタ。おまけの小話です。
ネタのつもりで思いついたんですが、書いてるうちに結構マジメな話になったようなならないような?(笑

軍曹さん視点の割と短いお話。

8/3追記
えーご指摘頂いたので。注釈とか色々追記です。
今回文中恭子ちゃんの漢字が間違ってました;スイマセン!!
あと、オノDが宗介を冒頭君付けしてるのは、冒頭が何かの(ボールはトモダチ的な)パロディーだからです。
文章後半で宗介を君付けしてるのは風間君ですよ~。



「行くぞ相良くん!!」
「む」
黄色い髪の男子生徒、小野寺孝太郎と、ムッツリ顔の男子生徒、相良宗介が華麗なパスワークで敵陣を抜く。
「くそっ!!」
「やるなあいつ等!!」
あっさりやり過ごされ敵チームは悔し気に呟いていた。

その日は一時間目から2年2組と4組の2クラス合同体育だった。
男子はサッカーの試合の最中で、ゲームはどうやら4組が優勢のようだ。
ボールのコントロールやルールの把握はイマイチ不安だが、宗介は敵をかわす事にかけて才能を発揮した。
そこに運動神経の良いの孝太郎がフォローしつつ組むことで、彼らは中々のコンビネーションを見せていたのだ。

「おぉ~~~っと! 小野寺君と相良君の黄金コンビを誰も止められないのかーーー!! 
もはやゴールは目前、しかしその先には2組のSGGK、森●くんがあ~~!!」
何時から黄金コンビになったのかは不明だがベンチの風間信二は実況になりきっていた。
ちなみに2組のゴールキーパーの名前は田中だ。

「オノD決めろー!」
「行けー!逆転だぞー!」
「S・G・G・K!!」 「S・G・G・K!!」 「S・G・G・K!!」
2組も4組もベンチサイドは一層の盛り上がりを見せている。
試合のボルテージは最高潮、お調子者の孝太郎はウズウズと湧く闘争心をこの上ないほど掻き立てられていた。
「舐めるなぁ!! 俺は冬のライオン、孤高のファンタジスタ、止められると思うな!! 見せてやる、これが俺の稲妻シューーーー」
彼は得たいの知れない事を叫ぶと右脚を大きく振り上げた…!!その瞬間。


――カッっっ―‥‥


「あぁっ!! 小野寺君の足元から目映い光が放たれたあ~~~!! 凄い、これが本物の稲妻‥‥‥‥って、えぇ?!」
孝太郎がシュートを放とうと軸足を踏み込んだ刹那、真っ白い閃光が孝太郎を中心に炸裂した。
「うわぁあああ」 「なんだこれ、うお、目いてえ!!」
一瞬にしてゲームは混乱の渦、閃光に飲まれた生徒たちがバタバタと崩れ落ちる。それはまさに地獄絵図‥‥。

「ううっ‥‥」
やがて混乱も収まり、問題の中心に居た孝太郎もムクリと起き上がった。
「‥‥お、俺のシュートはこんなにも‥‥‥‥ってなわけねえっ‥!!!」
そう、先程の目映い閃光は漫画的エフェクトなどでは勿論無い、それは。

「さーがーるぁぁあああーーー!!」
傍らでちゃっかり閃光を防いでいた宗介の首根っこを孝太郎はむんずと掴む。
「‥‥安心しろ、それは単なる閃光弾タイプの地雷だ。 分かるように目印をつけて置いたというのに、愚かだぞ小野寺」
「てんめえええええええええええええ!!!」
「む‥‥‥‥?!」

 
*******


「ピピーーーっ!!試合終了~~~~!!」

2年4組の男子が一名を除いてはしゃいでいる。
その除外一名…相良宗介はというと2クラスの生徒に囲まれた挙句、退場をくらい、グラウンドの片隅で仕掛けた地雷を掘り返していたのだった。

「おうおう元気に穴堀してるかね~相良君! お前のおかげで一時はどうなるかと思ったぜ、ったく!!」
一人でハットトリックを決めた孝太郎がふんぞり返って歩いてきた。
「勝ったのか、よくやったな」
「お前が言うな!!」
「む?」
孝太郎は宗介の胸倉をむんずと掴む。
「まあまあ、勝ったんだからいいじゃない、それにしても‥‥」
風間信二が宥めながら、その視線をグラウンドへと移す。
「女子はマラソンかあ。何もこの暑い時やら無くても良いのにね‥‥」
彼の言葉どおり、熱気に蒸された校庭のトラックを女子達が必死に走っているところだった。
3人は暫し無言でその光景を見ていた。

「うーん、しかし‥‥」
やがて孝太郎が口を切る。何やら思案しつつ手を顎にそえており‥‥さながら芸術評論家のような雰囲気だ。
「いや、これはこれで、なかなか良いんじゃないか風間君?」
すると風間信二は何処からともなく一眼レフカメラを取り出し、呟いた。
「そうだね、実は僕もそう思っていたところなんだよ、小野寺君」
「解るかい?見てごらんよ、暑さに悶えながらも懸命に走る姿、‥‥なんと言うかこう、色っぽいとは思わないか?」
「解る、解るよ!!」
二人は視線を合わせ意思を疎通しニヤリと笑った。傍から見るとなんだか気持ちが悪い。

「特にほら、あの先頭を走る‥‥なんだっけ、2組の‥‥」
信二のファインダーが一人の長身の女子を捕らえる。
「なんだっけか、ショウジ?バスケ部の‥‥、近頃良いよなあ、あのキュッとしまったウエスト、しなやかな脚線美‥‥、たまらんなあ~」
孝太郎は高校生とは思えない親父のような感想を述べ、鼻の下を伸ばしていた。

一方。思春期真っ盛りの男子二人をよそに宗介はというと‥‥。
「解らんな‥‥」とか不服そうに呟いただけで、ムッツリ顔で地面をホジくり返す作業を続けるだけだった。
ところがそのとき‥‥。


――ズカズカズカズカっ!!!


聞きなれた‥‥しかし何時もよりも数段テンポも勢いも上の音がトラックから響いて思わずそちらを見る。

「むっ‥‥?」
「うわっ‥‥100M走かよ‥‥アイツ」
トラックのゴール200M手前、それは砂煙を巻き上げて数名の先頭集団をゴボウ抜き、猛進してきた。

「あっ‥‥!!」
信二のファインダーに、東海林を追い抜くその何かが移る。東海林の表情には驚愕と落胆の色が明らかに映っていた。
「あ~東海林さんかわいそうに‥‥」
「コレ5キロ走ってんだろ?アイツどんだけ体力あんだよ‥」
信二と孝太郎は先程女子に向けていた憧憬の眼差しとは一転、お世辞にも色っぽいとは言えないその姿に半ば呆れ顔だ。
しかしただ一人、その驚異的な疾走に真剣な眼差しを向ける人間がいた。 『女子<<<<<<土弄り』 だった宗助だ。


――無駄の無い筋力の流動、 理想的なリズム、 爪先からその流れる髪までが形作る芸術的な流線形のフォルム。
その目はゴールの遙か遙か先を見つめ、身体ごと空気を切り裂いて突き抜けて行く‥‥なんとも爽快だ。
…きっとあれはどこまでも自由でどこまでも力強く、誰かの心すら、衝き動かす。
それをイメージするならば闇を撃つ光に似た『煌き』。

宗介は眼が離せないまま、ぼんやりと、それが後姿になるまで見送った。


*******


やがて別の意味で絶句していた孝太郎が呟いた。
「にしても、アイツ購買のパン買いにでも行く気か?‥‥‥‥‥‥千鳥」
信二も続いた。
「うん、なんか最早恐いね、‥‥‥‥‥‥千鳥さん」
そして最後に宗介が言う。
「まるで最新型のステルスミサイルのようだ、流石だな……千鳥!」

「「は?」」

挿絵
パーーーン!!

一人のズレた発言が生み出した珍妙な空気をゴールの銃声が掻き消す。
ステルスミサイル…千鳥かなめはゴールしても尚勢い余って100M程余計に走って行った。

その後を続々と二位以下が辿り着くが、ほとんど同時にへたり込み息をあらげている。
すると突然孝太郎が眼の色を変え、騒ぎ出す。
「おお…ファンタスティック!! 見ろ諸君…なんともエロチックではないか…荒い息づかい、上気した肌!!
彼女達はさながらこの世に迷い込んだ天使!! …撮ってるかね風間クン!」
「もちろんさぁ、もー何て言うかエロテロリストだね…!」
なんかもう思春期男子は色々危ない。
「何? 女子にテロリストが紛れ込んでいるのか風間?」
どこからともなく宗助は小銃を取出した。こちらも色々危ない。

一方首位独走ゴールを決めた千鳥かなめはというと‥‥

「しゃーーーーーーーーーーー!!」
両手を天高く突き上げ何やらガッツポーズなんて決めている。
それを見た孝太郎と信二は同時にため息を漏らした。

「‥‥あれじゃあな‥‥」
「ははは…何て言うかもう…コメントのしようもないよ」
しかしそこに宗介がコメントを付け加える。
「ああ確かに、全く千鳥の走りは非の打ち所がないな。」

「「は?」」

またしても焦点のずれた発言に二人そろって疑問符を投げかけてきた。
「む?」
「いやー相良君確かに速いけどさ。そうじゃなくてー」
「そーそー、あんなゴーカイな姿見せられもそそらねーて話しよ‥‥」
「そそる?」
宗介は怪訝顔で聞き返す。
「キレイだなーとかセクシーだなーとか、思わねーて事。
あいつスタイルも顔も申し分無いのに、自ら魅力を半減させてるよなー。 いやー勿体ない」
「‥‥‥‥‥‥。」

孝太郎の言葉を宗介は暫く黙って聞いていた、そして何かを考えるような仕草を見せてから‥‥
「いやそれならば寧ろ。」
やっと宗助が何か言いかけたのだが逡巡して止めた
「ん…?」
孝太郎が不思議そうに首をかしげる。
「なんだよ相良?」
「‥‥いや、何でもない。 それよりも風間、テロリストは何処だ? 隠すと為にならんぞ。」
宗介はまだ小銃をちらつかせている。
「いねーよ!んなもん!」
「あのね相良君、エロテロリストというのはだね…て何を言ってんだろう僕…。
‥‥あっ!!!! ていうか、こんな事してる場合じゃ無いよ!! そろそろ片付けに参加しないと。」
「んなもんサボってとっとと着替えよーぜ~。」
心底だるそうに孝太郎は言うが、信二は賛成しない。
「ダメだよ、あの先生恐いって有名で。そもそもオノD体育委員じゃないか‥‥」
「ちーー。」
そんな事を言いつつ二人はグラウンドに戻っていった。
一方、体育教師から地雷の撤去を命じられていた宗助は引き続き作業に戻る事にした。


――キレイとかセクシーとか~‥‥
 

孝太郎の言葉を思い出す。もしかしたら自分の美的間隔はズレて居るのかも知れないが。
あの芸術的なフォルムを、あの生命力を、宗助は素晴らしいと思った。鋭く美しく、見ているだけで胸のすくあの感じ…。
友人らの評価が低い事はいささか不可解だったが、実は少し喜びすら覚えていた。

先程の感覚を思い出す、仰々しいけれど、光が踊るようなそんなヴィジョン。
それが自分だけが捉えた彼女、自分だけが捉える『セカイ』。
そして自分はそれを取り巻く一部で、そこに居れる事が自分は‥‥嬉しい?楽しい?
‥‥どう形容するのか今の宗介には解らなかったけれど、この気持ちを自分だけが持って居れたとしたら‥‥。
それが含有するものに何か、優越感や誇らしさを覚え、さっきは途中で言葉を止めたのだった。

「うむ」
宗助は何やら一人満足気に頷くと、再び地面を掘り始めた。
そこへ突然、水呑場の方から声が飛び込んできた。4組の女子たちだ、かなめも居る。

「き、気持ちわるい…、もう倒れちゃいそうだよ‥‥」
ぼさぼさのミツアミに青い顔で常盤恭子が弱弱しく呟いている。
「みんなこの暑いのに最初っから張り切るからバテるのよ、力は計画的に、そしてここぞって時に一気に解放するもんよ!」
水道の水を空のペットボトルに注ぎながらかなめが言う。
「成る程ー‥‥流石カナちゃん狡賢いなあ」
「あんですって‥‥!?」
このアマ‥‥とかなめが小突こうとするが、恭子はナンだかこう、ヤバそうだ。

「う、うぇ‥‥キボヂワルイ‥‥。にしても、カナちゃん元気だね」
恭子の言うとおり、シャキシャキ動いている女子はかなめ一人だけだった。
「うー‥‥でも、暑くて私も気持ちワリーわよ、あーシャワー浴びたい!」
そう言うとかなめはおもむろにペットボトルの水を頭からひっかけた。

水は彼女の髪や頬を艶やかに滑り雫を滴らせ体操着を遠慮無く濡らす、
そのせいで彼女の肩や鎖骨がボンヤリと透けて見えていた。
「ちょっとカナちゃーん‥‥!」
「いーのよ、あっちーんだもん!」

一方そこから数メートル離れたグラウンドの隅。
幸か不幸か‥‥かなめの一連の行動を宗助は見ていた。いや、見てしまったのだ。

「あれは‥‥なんだ」

水を纏った彼女は陽射しに輝いて、えもいわれぬ美しさだった。
それだけでは無い、張り付く髪、ほんのり紅潮した肌、妖しく透けた部分、
そして湿ってピッチリとした布に包まれ、遠慮なく形が顕わになったその、柔らかそう、としか形容のしようがない丸い‥‥身体。

手を伸ばして‥‥出来る事ならば‥‥


「――はっ!!」

そこまで辿り着いて宗介は思考回路を切断した。

(‥‥なんという‥‥、破廉恥なっ!!)
何だかとてつもなく神聖不可侵なモノを侵してしまうような、彼はそんな自分の思考を激しく恥じる。

(落ち着け、今何を思った‥‥?! 何を考えているのだ俺は!? まるで千鳥を自分の欲望の対象のように‥‥!)
宗介は握った拳で地面を殴りつけた。

(千鳥はそもそも護衛の対象であって‥‥こんな‥手前勝手で卑猥な感情の対象にしては彼女に失礼ではないか‥‥。)
それからひたすら地面を殴り続けたので、気付いたら息が上がっていた。
「はあ‥‥はあ‥‥。」
空気を吸い込むと少しずつ思考は冷静さを取り戻す。

――彼女の世界は時に眩し過ぎる。
‥‥そうだそれがいけない。
自分は『まだ』それを見る勇気を持ち合わせては居ない
‥‥そもそもその資格は『まだ』無い‥‥!
そういった事が許される関係性では『まだ』無いのだ!

宗介の頭の中では高速で理論が並べ立てられ、『まだ』の部分は異様に強調されていた。
(そう、『まだ』なのだ。絶望的という訳ではないあくまでも。)
そして先程の思考について自分の内で色々と協議がなされ‥‥


結果‥‥‥‥、哀れ宗介は凄い勢いで眼を逸らした。



挿絵

水呑場の方からは未だパシャパシャきゃーきゃー聞こえてくるが、彼は強い精神力でこの場を乗り切る事にした。
だが‥‥‥‥‥‥。


「おぉおおおおおおーーーかっ風間君っ!なんか千鳥のヤツがすっげえ色っぽいんじゃねーか?!!」
「お、小野寺君! あ、あれはまさか‥‥伝説の濡れてピッチリ体操服&ブルマっていうヤツじゃあ‥‥!」
宗介はハッと顔をあげて声のする方を見た、何時の間にか戻ってきた孝太郎と信二が締まりの無い表情でコチラに向かってくる。
――さらに!

「あれーー。 ソースケ、あんた何やってんのー?」
その反対側から『伝説のピッチリ体操着ブルマ』、千鳥かなめの声が近づいてくる。
宗介はそちらも振り返るが、振り返った瞬間かなめの艶やかな肌が飛び込んできて、コンマ0秒で顔を元に戻した。
そして次に風間信二を見たときには彼の手には一眼レフカメラが握られており‥‥。

(まずい‥‥このままでは‥‥‥‥!!!)
思うより早く、宗介は猛烈な勢いで掘り返した地雷を信二たちの足元に埋めなおしていた。そして叫ぶ。

「来るなっ‥‥!!千鳥‥‥!!」
「ほえ‥‥?」
宗介は横っ跳びしてかなめを抱きかかえた、次の瞬間。


――カッ‥‥‥‥‥‥!!!


「う、うわあああああああ!!」
「相良お前ってヤツはまた、‥‥何だコレ、ぎゃあああああああ!!」

それは先程のものとは少し違う、閃光と少々の煙幕と、それから嫌な匂いの得体の知らない粘着質なモノが炸裂するという‥‥‥‥
なんとも陰湿極まりない地雷だった。余談だが宗介はそれを自信作だと言っていた。


*******


暫くして、煙幕が晴れると、これで二度目の地獄絵図が展開されていた。今度は気絶している生徒すら居る。

「な‥‥な‥‥何をやってんのよあんたはぁあ~‥‥」
あまりの事に腰を抜かしたかなめが声を震わせて訴える。
宗介は応えず、かなめを抱き起こした、やや上乗りな体勢である。それから相変わらず無言で体操着の上着を脱ぎだした。
「い‥‥!!ちょっ‥‥!!なにやってんのよアンタ!! やだ!!こんなとこであたし‥‥‥‥!!」
かなめが真っ赤になって宗介の胸元をポカスカやっていると、

バサっ!!

無理矢理、しかも乱暴に一回りも二回りも大きな体操着を着せられた。

「え‥‥? 何? どういう事?」
「いいから着ていろ。」
それからどこから奪い取ってきたのか、ハンドタオルでかなめの頭をグシャグシャにしていった。
「いた‥‥いたい、‥‥痛いよ~!!」
どうやら拭いてくれているらしいが、不器用な彼の手つきは何とも粗暴だ。

「‥‥ちょっともう!! なんなのよアンタ‥‥!!」
やっとの事でタオルを奪ってかなめが宗介を睨みつける。
気付くと、二人の距離はかなり近く、かなめは宗介の眼に捉えられていた。

「‥‥?」
宗介がムッツリとかなめを見ている。

「‥‥‥?な‥‥なんとか言いなさいよ!」
絶えられずかなめが真っ赤になって先に眼を逸らしてしまった。
心なしか安心したような顔をして「よし」とか呟いてから宗介が立ち上がる。
「一体なんなのよ‥‥?」
まだ赤い顔をしているかなめをよそに、宗介はおもむろに何かを取り出す。
黄色い布地に黒でkeep outと書かれたテープだ。

「‥‥‥‥で、今度は何やってんの。 あんた?」
宗介は自分とかなめの半径1メートルくらいを黄色いテープでグルグル巻きに囲っていった。
「先程、君の周囲一体に大量の地雷を埋めた、まだ残っている筈なのでな‥‥」
「‥‥んなっ!!!」
絶句。しかし直ぐにかなめは顔をあげて力いっぱい叫ぶ。

「なーーーーーーんて事すんのよーーー!!!」
スパーーーン!!!絶叫とともにハリセンのスウィングが唸り宗介はグラウンドにめり込んだ。

「くぬくぬっ!」
地に伏した宗介をかなめがけた繰り回す。
「痛いぞ千鳥、何をする」
「なにおする、ぢゃないわよ! あたしの周りを地雷まみれにしてどーすんのよ!!」
かなめの啖呵に加え、いーぞいーぞ!やっちゃえやっちゃえー。とか周囲の野次も飛んでいた。

「いいんだこれで、 ‥‥これで俺以外入れない。」

宗介が何か言ったけれど、周囲からの非難の声に掻き消えかなめには届かなかった。
「は‥‥?!」
「いや問題ない」

――自分だけが見るセカイの自分だけが知る彼女、出来ることなら、他の誰にも見せたくない。
誇れるものなんて、戦いに纏わる物くらいしかなかった。けれど現在は、この小さなセカイがとても誇らしい。

「へんなの~!」
そういうとかなめは晴れやかに笑った。
先程と違い、(宗介のせいで)頭はぼさぼさで、(宗介のせいで)体操服はブカブカ。なんとも不恰好。
それでもまた、彼の眼には光が踊るのが見えた。


彼女とそして彼のセカイは今日も輝いている。


 



要は相良ビジョンのお話でした。
戦争ボケの宗介は、彼独自の世界観(少なくともプラスの方向のは)とかそういうの持ち合わせていないだろうなあて思ったのですが、
カナちゃんと過ごしてからは少しずつ世界に色がついたんじゃあないかな?
宗介はちろりと出会うことで、変わって、それを素直に凄く嬉しく思ってるような気がする。
ソーカナにおいてそういうのが凄い好きです。

もっと相良さんを変態ちっくにしても良かったと後悔。
いやーエロっちいのとか、心情描写は難しいですね。精進精進!
読んでくださり有難うございました!
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