忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

IMAGE・4

続きです。3はコチラ。

********

どれくらいの時間が流れただろうか。
そんなに永くなかったかもしれない、しかし彼には永遠のように感じられた。



宗介は静かにかなめを開放し、

「‥‥‥‥すまない」
思わず謝ってしまった。

何をしたのか、解っていた。どういう意味を持つのかも、解っていた。
ただ伝えたかった、けれど言葉では足りなかった、そう思うと、自然と体が動いていた。
でも突然の行動に、傷つけてしまったかもしれない、と少しずつ後悔の念が湧き上がってくる。

叱られた子供のようにおずおずと、祈るような気持ちで顔をあげる。



かなめは微笑んでいた。



「‥‥じゃあ、明日も‥‥」
「え‥‥?」
たどたどしくかなめが言葉を続ける。

「明日も、会おうよ。‥‥日曜日だけど、い、一緒に居よう。」
「ちど‥‥」

何か言おうとする宗介を遮るとかなめが急に勢いづいた。
「ねえ!‥‥どこか行きたいとこある?それとも家に来る‥‥?!」
「‥‥君の部屋が良い」
「ん、じゃあ、‥‥何か作ってあげる。何がいいかな~…」

そこでかなめは宗介に背を向け一人あーでもないこーでもないとメニューを練り始めた。

「千鳥‥‥俺は」
「ソースケ。」



「嬉しいよ‥‥凄く。
明日も、ううん何時も。

一緒に居たいの、‥‥ずっと。」




泣いているのだろうか、
かなめの声と細い背中が震えていた。

彼女の気持ちが嬉しかった。
彼女の全てが愛しかった。

宗介は抱きしめたい衝動に駆られ、近寄るが、そこでくるりとかなめが振り返った。



「じゃあ、じゃあ明日ね、そうね、10時ごろ、必ず来なさいよっ!!」
「ああ」

「急に任務が‥‥とかほざいたらマジで許さないからね!!」
「ああ、必ず行く」

「約束だから‥‥」
「ああ」


「ぜったい‥‥‥‥ん」




再び、宗介がかなめの言葉をその口で遮る。


先ほどよりも、少し深く口づけた。
それでも相変わらず優しいキス。

まるで、何時もの彼そのもののように不器用で、でも優しくて。
かなめの瞳から涙が零れ、宗介の頬を伝った。



―やがて、惜しむように離れ、見つめあう。

かなめの頬は涙に濡れていたが、神秘的で、とても美しかった。
それだけではない、とても印象的で‥‥何故か心の奥底に訴えるような‥‥





―――不意に宗介は不思議な感覚に陥った。






「待っているから」
「え?」

かなめが静かに、優しく語りかける。



「必ず‥‥、待っているから」

「千鳥‥‥?」




突然かなめの声が遠くに聞こえた。
いや、声だけではなく、彼女の姿も、ゆっくりと霞んでいく。



「千鳥――!?」

声が、姿が遠くなる、わけが解らず、宗介はただただ叫んでいた。


「だから、何時か‥‥絶対に‥‥」





「千鳥‥‥‥‥、千鳥―――!!!!!!」












    ――――――もう一度、会いにきて、ソースケ。――――――








彼女の声が途絶え、目の前に真っ白な世界が広がる。

最後に宗介が見たのは、


大好きな、彼女の笑顔。


続く
PR
忍者ブログ [PR]